視察レポート「東尋坊を巡る荒磯遊歩道と三国湊」視察日:平成18年11月27日(月)
2006.12.10 by mikuni.minato
日本風景街道近畿地区研究会の方々が、三国湊へ視察に訪れ、様々な貴重なアドバイスをいただきました。
1)視察概要
a)行程
・三国湊旧市街地(三國湊座〜旧岸名家〜旧内田本家〜旧森田銀行)を視察 …三国湊旧市街地の説明

三國湊座にて

三国祭山車蔵

カルナ

旧岸名邸

大木骨董品店

謂われ書き

旧森田銀行本店

旧森田銀行本店
・三國神社を視察 …三國神社の歴史や由来について説明

三國神社
・三国港突堤を視察 …三国港突堤の歴史や由来について説明

粗朶沈床(そだちんしょう)

三国港突堤
・荒磯遊歩道を視察 …荒磯遊歩道の紹介

荒磯遊歩道にある文学碑
・三国海岸(東尋坊〜雄島〜三国港)を車中視察 ・意見交換会・昼食

魚志楼にて
b)出席
●視察者
日本風景街道近畿地区研究会(宗田委員長 桑田委員 井戸委員 藤森委員)
●随行者
国土交通省近畿地区整備局(橋本課長 森脇補佐 岸本係長 大西技官) 近畿幹線道路調査(塚西係長) 福井河川国道(西本事業対策官 寺井課長 丹羽技官) 福井県(西浦技幹 清水主査) 坂井市(前田都市計画課長 加藤技師)
●説明者
三国湊魅力づくりプロジェクト(西澤 大和 福嶋)
2)視察を終えてのレポート
活動状況の整理
●活動範囲
- 活動エリアは、県道三国東尋坊芦原線、県道三国停車場線、および坂井市道を大正道路とした坂井市三国町の中心市街地を含む、北部エリアである。
- 本ルートでは、北前船寄港地であった歴史の薫る三国湊旧市街地、東尋坊をはじめとする風光明媚な景観を有する海岸部、有機農業が盛んな丘陵地、それぞれ特徴を楽しむことができる。
●体制
- ルート運営方針検討期間:NPO法人三国湊魅力づくりPJが主体となりルート運営方針を検討する。
- 関係行政機関:ルート運営上必要な事業を実施する。
- 連携会議:NPO法人三国湊魅力づくりPJと関係行政機関がルート運営方針等を相互に確認し、調整する。
活動状況
- 三国型エコツアーの実施
- 朝市、骨董市、蚤の市の開催
- シンポジウムやワークショップの開催
- 風景づくりの調査・提案事業
- エコサイクリング・レンタサイクル事業
- アクセスマップの作成・情報発信やPR事業
活動における問題点・課題等
●ルートマネジメントのあり方について
- 地域の魅力を組み合わせた観光メニューづくりや、他の地域との連携を図っていく必要がある。
●持続可能な体制づくりについて
- 各団体では、活発な活動が実施されているが、ルート全体としてのパートナーシップを形成する必要がある
●品質確保・向上のための支援メニューについて
- それぞれの取り組みや観光コース、地域の魅力などを広く一般的にPRされているとはいえない。
アドバイス等
●ルートマネジメントのあり方について
1)ルートコンセプト
- 東尋坊の眺めをはじめとする日本海側の風景や、歴史的資源など、高い価値を持った地域であると思われる。
- 県内周辺の地域源との関係性を整理した上でのコンセプトづくり、観光客がより魅力を体感できる地域資源をつなぐストーリーづくり等が望ましい。また、それらと「食」を組み合わせたコンセプト、観光メニューづくりが望ましい。
2)官民の役割分担
- 住民やNPOの活動は独自に活発であると伺えるが、日本風景街道では、道路事業者が更に効果的な実施を可能とする支援を行うこととなっている。これらをもっと活用するだけでなく、役割分担を明確にすることが望ましい。
3)ビジネス展開
- 来 街者に三国湊の歴史文化を体験してもらう「街中散策ツアー」や、丘陵地での農業体験、農作物加工を通じた「グリーンツーリズム」、九頭竜川河口及び海岸線 における水上バスによる豊かな自然を感じてもらう「クルージング」や、荒磯遊歩道を散策する「文学歴史散策ツアー」およびそれらを組み合わせた観光プログ ラムの実施をしており、好事例といえる。
- 日本風景街道の取り組みを地域効果につなげていく必要があり、観光客滞在期間中のお金の使い道のマーケティング等、ビジネスとして成立させていくための、調査・検討をしていくことが望ましい。
- 旧森田銀行等、三国湊旧市街地の古い建物の利活用を検討することが望ましい。
4)ルート間連携
- 個の魅力は非常に高いため、他地域との連携を図ることで、更に魅力を高めていく工夫をしていくことが望ましい。
5)観光客を意識した取り組み
- 現在、三国湊は周辺地域との連携が図られておらず、場所についても認知度が低い。今後、地域の中で話し合い、三国湊のテーマを明確にした上で、ガイドブックの作成や観光ルートの設定、観光業者との連携等、観光客に対してプロモーション活動を行っていく事が望ましい。
●持続可能な体制づくりについて
1)良好なパートナーシップの形成
- 住民やNPOとタッグを組みつつ、まちづくりの透明性を高めるとともに、国交省、道路管理者とベクトルを合わせて行くことが望ましい。
2)活動団体の連携
- 参加団体が独自にテーマ設定を行い、いくつかの連携を図っている。その活動は活発であるが、それぞれの相乗効果を図るルート全体としての連携を図っていくことが望ましい。
●品質管理・向上のための支援メニューについて
1)魅力・特徴に応じた支援メニュー
- 日本海側の風景や歴史的資源を味わうことのできる回遊ルートを設定している。また、歩行者、自転車、自動車それぞれの移動特性に応じたルート設定を行っており、好事例といえる。
- ハード整備だけでなく、観光が地域振興につながるような仕組みの検討等の支援についても必要かと思われる。
●今後の取り組みに向けての委員からのコメント
- 地域情報を求める観光客がまず立ち寄るべき場所として、三國湊座の機能強化が重要。
- 旧森田銀行をはじめ、見どころが点在しているため、どう案内するのが検討が必要。
- 街中滞留型のルートであり、今後、各来訪者の時間設定に対応した案内ルートを設定すべき。
- 農業・農家との連携によるビジョンのまとめ方もある。
- 宿泊施設などとの連携に依れば、日本風景街道でブラッシュアップすることで大きな地域振興効果が得られるのではないか。
- 三 国湊においては、まちづくりとしては非常に進んだ取り組みがなされていた。特に素晴らしかったのは地元ツアーの造成と旧森田銀行の保存。だが、旧森田銀行 については是非、もう少し外向けの活用の仕方を検討される方がいいのではないかということも感じた。また、東尋坊、芦原温泉といった全国的知名度をもつ観 光地と隣接していることの利点が、さほど活かされていないようにも見受けられた。「シーニック」としての事業重点を東尋坊〜三国湊間に置き、あわせて三国 湊や東尋坊周辺の事業充実を図っていく方が、少なくとも地元外の理解・関心が得られやすくなるのではないかと感じた。