「白砂青松再生の会」に参加してきました!
2010年3月13・14日 「白砂青松再生の会」第4回集会in加賀に参加してきました。
13日
【特別講演「木が枯れる、それでも植えよう」 小川眞氏】
日本で松が枯れ、ナラ枯れが起こり問題となっている。 世界でも中国の唐松が、シベリアのアカマツが、モンゴルのウランバートル周囲の森などあちこちの木が枯れている。 これらの木の根をサンプリングすると生きている根は僅かで、吸水力が全くない。 様々な実験と観察を通して、木が枯れる原因は土と根と菌の関係にある。 窒素を与えた土は根がひも状になり、窒素を与えないと枝分かれし、菌塊と共生し強い根になり木も元気になる。 木に炭を与えることで、根が張り、菌塊がつきやすくなり、木の勢いが回復することがわかってきている。 私たちの子孫の代に木を残すために、木を植えることが必要で、炭や菌などを利用す方法を提唱する。
【講演 「樹勢回復と植林の実際について」樹木医 伊藤武氏】
炭と菌塊を使った松の植樹の具体的な方法についての講演。 元気な松林では菌と松が共生している。 マツの苗を海岸に植えても枯れることが多い。 そこで元気な松に育てるために、2年生の小さいポット苗を4月上旬に松露の胞子を2回与え、10月に3本づつ植える。 これは最終的には1本にする。 3年生の大きい苗はこのとき炭と一緒に植える。 するとほとんど根がついた。 炭は固まるので役割としては根と菌が絡みあうのではないか。 この効果は長く続き、10年は効果がある。
【地域報告】
(1)「町ぐるみで、松林の保全活動」
加賀市瀬越町松林保全対策連絡協議会
(2)「地域の松林の保全と再生」
根上森林連合会、高坂・根上町緑を守る会
(3)「地元の塩づくりに被害木を利用」
NPO法人加賀海岸を愛する会
(4)「加賀海岸国有林での試験の取り組み」
石川森林管理局、石川県林業試験場
14日
加賀海岸林での研修
●加佐の岬試験地視察 植樹 日本海に面する岬。10年前までは松林だったといいます。
「戦争中に松脂を採って燃料にした、松10本の松脂で1時間飛行できた」という歴史の記録。松脂が燃料となり、空を飛んでいた!という事実に驚きました。 現在松は数本を残すのみでほとんど枯れています。
シャリンバイという柳に似た花が咲いていました。 これは過去に松と混植された植物とのこと。 現在は混植したシャリンバイが残り、松は枯れて荒地になっています。 2~3年前から植樹を続けているというその荒地で炭と松露の混じった苗を植林しました。 炭と松露で植林した松の葉は茶色になりつつ、新芽がでていました。
炭とキノコのもつ力。 自然の力と共生関係は人間の及ばない力を持っている。 この地域の条件は強風、潮風、寒さ、荒地・・・とかなり過酷な状態です。 いつか、この松の中から数本でも育つ木が出てくるでしょうか? また見に行きたい場所です。
●瀬越町松林、試験地視察、瀬越国有林試験地視察
ある条件下で松が枯れ、光が差し込むことで一斉に実生更新が進み、松の幼木が密生している海岸。 それにしても見事な松の実生更新!
一面松の幼木、松畑のよう。 ここでは炭を撒く実験、松露を撒く実験、間伐実験などの研究が行われていました。 珍しいブクリョウとういうキノコやコツブタケが見つかり、松の根には菌が撒きついていました。
↑ブリョウ。伐採して数年経過した松の根につくキノコ。利尿効果。
↑コツブタケ。ツブツブが見えますか?
↑松の根に共生する菌糸。色を見ると何の菌かわかるものもあるそうです。 松とキノコが共生できる場所、手入れをいい方向に持っていければ松林が再生できそうな土地。 その手入れは強度間伐、落ち葉かきとかなり手間がかかりますが、石川県は手入れする方向で研究をしているそうです。 天然更新できたらどんな松林になるんだろうなあ、と楽しみな地域です。 石川県は海岸線の防風林・防砂林を松林で再生することを決め、再生に取り組んでいます。 昨年マツノザイセンチュウ抵抗性の石川県産の苗を日本海側で初めて開発成功したという話を聞きました。 かなり松に力を入れている地域です。 松以外の樹木、例えばタブノキやツバキなどではダメなのか?と尋ねました。 この海岸線にタブノキやトベラ、ツバキなど常緑樹を植えたが、ほとんど枯れてしまい、クロマツの苗を植えなおしているというお話でした。 江戸時代からの先人が松を植え続けてきた日本海沿岸線。 松でなければならない理由があるのだと知りました。