三国湊こどもエコスクール2009 レポート
2009.12.01 by mikuni.minato
活動の目的
三国湊地区(福井県坂井市三国町)を中心とした豊かな自然環境(海・川・里山など)の中でリアルな体験を中心とする環境学習プログラムを行います。こどもたちに「自然」「エネルギー」「歴史文化」「食べ物」等について楽しみながら学習してもらい、その上で今後の地球環境の問題等を深く考察する力を養成し、同時に地域に根づいた持続可能な社会について認識を深めてもらうことを目的とします。
期間
1回目… 2009年7月24日(金)〜30日(木) 2回目… 2009年8月17日(月)〜8月23日(日) の各1週間(6泊7日 18食付)
活動フィールド
雄島・三国サンセットビーチ・梶漁港・浜地海水浴場・三國湊座・越前松島水族館・東尋坊・九頭竜川中流域〜上流域・勝山市(小原集落・岩屋・平泉寺など)
宿泊所
三国町内民宿・1回目:越前松島水族館 2回目:三国サンセットビーチ・九頭竜川上流(1回目:勝山小原集落の古民家 2回目:越前大仏)
レポート
【1日目:7月24日(金)/8月17日(月)】
「おはようございまーす」の声とともに元気なこどもたちが今年も三国湊座に集まってきました。この日は、えちぜん鉄道三国駅から電車に乗り込み勝山へ向かいます。オリエンテーション後期待と荷物でいっぱいになったリュックを背負って元気よく出発しました。
海辺の街の中から山、川へ向かう電車の中では、三国から勝山までどこを通って行くのか、地図と窓の外を見比べました。九頭竜川のすぐ側を電車が走っていきます。福井口ではエコスクール専用電車エコエクスプレスに乗り換え、勝山にまつわる伝言ゲームをしました。
●こんな伝言ゲームをしました!
・勝山の岩屋にある大杉は樹齢250年で市の天然記念物です。
・平泉寺の東尋坊というお坊さんは三国の崖から海に突き落とされました。
・三国は江戸時代から明治時代にかけて北前船というたくさんのもの売り買いする船が泊まる湊町として栄えました。
岩屋で、講師をして下さるのは、勝山ネイチャークラブの方々。「川に住む魚はどこに隠れているかな?」「どうしたらつかまえることができるかな?」ペットボトルで作ったわなや、アミで川の生物をつかまえて観察しました。川下りもしました。 川のあとは、山の中を探検しました。大きな大きな天然杉の岩屋大杉に「おぉー」という歓声があがりました。
たくさん遊んだあとは、川にすむお魚のお話を聞きました。生長するにつれて海へと旅立ち、大きくなって再び川に戻ってくるのは産卵のとき。川から海へ、海から川へと大冒険するヤマメ、それがサクラマスです。海へ出るとき、こどもの頃には体の側面にあった暗青色の斑点(パーマーク)が消え、美しい銀色に、そして産卵期には桃色を帯びます。その姿に魅了される人も多いそうです。講師に来ていただいた天谷菜海さんが手作りの紙芝居を使ってわかりやすくお話ししてくださいました。
夕食は、川魚のイワナや、ご飯、ねじねじパンをスタッフと協力して自分たちで作りました。
私たちが毎日食べているお米。そのお米を収穫したあとの藁。現在の農家さんでは機械で粉々にしてしまうところがほとんどです。昔の人は無駄にはしません。その藁を使用して生活に役立ててきました。今回は、そんな昔の人の知恵を教わりながら、これから行く三国でとった魚を干すための藁縄を藁造形作家の村上裕介さんに教わりながらあんでいきます。
エコスクール1回目に宿泊した小原集落では、寝る前にて小原ECOプロジェクトの国吉一実さんに小原に伝わる怖い話をして頂きました。 みんなのリクエストにこたえて、たくさんのお話を聞かせて下さいました。2日目の朝には、古民家修復のお手伝いをしました。
2回目は福井県勝山市にある越前大仏に宿泊しました。満天の星空の下。観察会をしました。講師の、勝山ネイチャークラブの宇野竜司さんと川嶋正己さんが楽しく星のことを教えて下さいました。2日目の朝は、大仏殿の中を探索しました。
【2日目:7月25日(土)/8月18日(火)】
朝ごはんを食べて、ラブリー牧場に向けて出発しました。 ラブリー牧場では、かわいい牛やポニーが出迎えてくれました。乳しぼりを体験したり、子牛にミルクをあげたり、ポニーに乗せてもらいました。しぼりたての牛乳はなんだか甘くてソフトクリームの味がしましたよ。
ラブリー牧場ではジャージー種という牛を飼っています。濃厚な牛乳が特徴で、バターをつくるのに適しているのだとか。ということで、私たちもバター作りに挑戦しました。ビンに入った液体をひたすらふります。 シャカシャカシャカと音がして、だんだんとかたまりが出来てきました。 かたまりがしっかりできたら、液体を捨ててバターの出来上がりです。パンにぬって、おいしくいただきました。
平泉寺観光ガイドの松本知子さんの案内で平泉寺トレッキングツアーにでかけました。 平泉寺につながる旧道を歩きながら、平泉寺のこと、道のこと、建物のこと、これから行く三国とのつながりのこと。わかりやすく丁寧に楽しく教えて下さいました。 ※平泉寺は養老元年(717年)、泰澄によって開かれたといわれています。
平泉寺で自然の中をたくさん歩いた後は勝山の中心地に行きましたよ。 福井県では昔、羽二重餅の由来ともなっている羽二重という絹織物が盛んでした。 勝山でも盛んに織物がつくられていました。今では羽二重を織っているところが勝山では1軒しかありません。はたや記念館「ゆめおーれ勝山」は、明治38年(1905)から平成10年(1998)まで勝山の中堅機業場として操業していた建物を保存・活用したもので、勝山市指定文化財、国の近代化産業遺産に認定されています。
ゆめおーれを見学した後、街中を歩き、あちこちにいる恐竜たちをみつけたり、勝山で有名な大判焼きを食べたり、勝山郵便局にしか売っていないという恐竜切手を買いましたよ。 楽しい時間は早く過ぎるもの。電車に時間が来てしまい、ダッシュで駅へ向かいました。 勝山を後にして、いざ三国へ!
三国入りをしての初のプログラム「海の上から三国湊を見てみよう。」 平田一美さんに案内してもらいながら、川から海へと下り、湊町の風景、これから自分たちが活動するフィールドを海や川から眺めました。平泉寺にいたお坊さん東尋坊が突き落とされた!といわれている東尋坊も眺めることができました。
遊覧船から臨む海へと沈んでいく夕日がきれいで、みんな感動していました。 サンセットビーチのヨットハーバーに降りたつと、三国温泉ゆあぽーとまで歩いて行き、1日の汗を流し、夕食をおなかいっぱい食べました。この後、今年新たにできた出島荘別館に移動し絵日記とおこづかい帳をつけて就寝しました。
【3日目:7月26日(日)/8月19日(水)】
出島荘でおいしい朝ごはんを食べて、出島荘近くにある梶浦漁港に出発しました。 ここで、釣りや海のことを教えてくれるのは、海のスペシャリスト出島荘のとうちゃんこと出嶋昇さん。
今の伝馬船はエンジンを使いますが、昔の伝馬船は帄を立てて風を利用して進みます。 まずは今の伝馬船に乗って漁師さんたちに釣りのコツを教えてもらいながら魚を釣りましたよ!
昼食に三國湊座のカレーを食べました。湊座のカレーはスパイスを一からあわせて作っています。エコスクールのために特別に辛さをおさえてもらいました。
午後からは、藁縄を教えてもらった村上裕介さん指導のもと藁苞納豆をつくりました。昨夜から、つけておいた大豆を納豆に大変身 させるのです。その変身のお手伝いをしてくれるのが、ワラです。ワラには、大豆を納豆に変身させてくれる納豆菌がいます。まず、みんながつくったワラヅトを大鍋の沸騰したお湯の中にいれ納豆菌以外の菌を殺菌します。納豆菌はこの程度の熱さでは死なない強い菌なのです。
殺菌したワラヅトの中に大豆を大事に入れていきます。ちょっとつまみ食いをしながら。そして、大豆を詰め込んだワラヅトを寝かすむろは村上さんの手作りです。その中に並べて毛布をかけて、湯たんぽを入れて、また藁をかけて温度を逃がさないようにします。温度と風通しが重要なのだそう。
納豆を寝かせたら、朝、釣った魚を開いてもらい自分たちで串にさしました。開くことのできない魚はそのまま、目にさします。「目に刺すから目ざしっていうんだよ」って教えてもらいました。串に刺した魚は、小原集落で編んだ縄に、さして干しました。
干している間に、昔ながらの銭湯「滝の湯」にみんなでいっしょに入ってきました。 帰ってきたら干した魚を焼いたり、トマトや野菜を串にさして自分で焼いておいしくいただきました。 意外にも、トマトが大人気。三国の農家さんの低農薬トマトです。そのままでもおいしいトマトですが、焼くと甘みが増すんですよ。