第八回 波の稜線を追う眼が泳ぐので、瞼閉じ / 樋口裕一
2010.09.08 by mikuni.minato
目下制作中でございます。作品制作もいよいよ仕上げの壁塗りに取り掛かる準備が整いました。
全貌が完成するまでもう少しです。今日は先日の日記で書いた湊文学についての続きではなく手短に近況報告をしたいと思います。
今朝は朝から土の仕入れでございます。軽トラで建材会社へ向かおうというのですが外は珍しく雨など降っております。
台風が来るとかナンとか。台風が来るとまた浜にはさまざまなものが打ち上げられるのでしょうね。
そういえば打ち上げられたのとはちがうでしょうが東尋坊の岩場に古い投網やロープがごちゃごちゃに絡んで棄ててあったので、先日救出作業に行って参りましたが、複雑に絡まったそれをほどくのは至難で、一時間ほどカッター片手に格闘して、4本ほどのロープを救出することで精いっぱいでした。
さて、湊風情を醸すにはどうしたらいいんか。考えて材を採取しつつ加工しつつ。現場では船底の窓をつけた。
この部屋に打ち上げられればええんや。歴史やら、文化やら、詩やら、無名の沢山の記憶やら、うちあげられればいいんや。うちあげられたら、網でそれを引き揚げる。あらかじめ自分の中で描いたイメージに沿ってつくるもんとは違う。ここに流れ着いたものを引き揚げてそれと向き合い、配列すること。ゼロからつくることとは違う。土や木や水やらを想念とともに並べ仕立てること。もっと自分の小さな観念を捨てて開き、豊穣な海で素材とたくさん話をしたい。
そして船着き場のように人を迎える空間をここに。がんばります。