アート

第四回 ALCから木戸へ、Yes,we can! / 樋口裕一

2010.08.19  by

alcがやばいです。
alcになにやらふきつけてあるようで「そのままでは何を塗っても持たないだろう(滑落する)」と写真をみた建材会社のおじさん に言われました。どうやら樹脂系の吹き付けがされてるようです。試しにグラインダーに硬めの研磨ブラシを付けてはつってみましたが落ちるには落ちますがこ の道具のペースでは時間がかかりすぎて全体をとても落とせそうにありませんでした。はつり専用の相応しいものがないと無謀だとおもいました。

し かも、落とせたとしても全体を洗浄してからalcフィットなるモルタルでしごいてから、ジョイントテープかその幅位のラス網を目地部をまたぐ様に張って、それから一日5mmづつTSサンドのモルタルを三度に分けて1.5mmの壁をつくる。そしてようやく土を塗れる。それぐらいしないと下地の影響を緩衝できないのではないかといわれた。

しかし、これらの膨大な手間を考えるとはっきりいって新しく壁を一からつくるほうが遥かに速くて簡単だと思いました。内壁の上に塗ることは、ドツボにはまる前に早めにみきりをつけるべきだと思いました。しかし、独立した壁といってもどうしようか。

一度途方に暮れて頭が爆発しそうになりましたが、夜の海に車を走らせてリセットしてきました。自分は何をつくりたいのかを改めて自問自答してみました。

自 分は部屋のリフォームをするんじゃない。この土地の風土に祝福される素材の空間をつくりたいだけなのだから。工法よりもまず素材ありきで出発するんでなく ては辻褄合わせに四苦八苦するばかりで自分の本分を発揮せずに終わってしまう。できる方法でできることを懸命にやればいいのであって、柔軟に発想をかえて 状況に応じて形もかえてしまえばいい筈だ。


と、いうわけで頭の中でいままで考えてきたことや調べてきたこと、書いてきたスケッチ、などなどを改めて洗濯機の様にぐるんぐるんかき混ぜてそれに釣り糸を垂らしてみました。

●検出した頻出キーワード


小屋
鏝跡

サルベージ
石灰

そう、ピースはそういうもの。
それを小屋という概念を中心に組み立てることができれば形式に拘る必要はない。樹脂を吹き付けたALCのような、なんの拡張性もなく自己完結したものに合わせて自分のやりたいのびやかな素材の世界観を萎縮させてはいけない。

全ては素材から始まるべきだ。
鳥の巣のように。鳥は使える素材だけを集めて巣をつくる。何でも使っているようでちゃんと取捨選択している。
そこにあるものを活かす。
し かし、なんでもかんでももとのものを活かすのではなく、生け花のように切るところは切る。だから天井の鉄骨部分は活かす。錆びた赤の重量という素材は活か す。そして孤独なALCは可愛そうやけどこれ以上付き合ってあげられない。だってALCよりも自分は土や漆喰や木と仲良くしたいのだから。

もうシンプルに考える。

素材を支える程度にミニマムな骨組みをつくればいい。最小限の小屋。

予算も時間も技術も無い。なら頭を使おう。人に頼もう。今のままの自分ではもう限界だ。だから今こそ自分を超えるチャンスだ。

普通に基礎石の上に羽根板で柱建てて桟渡して筋交いつけて、上部で鉄骨にビス留めればなんとかならんかいな。でもなんしか構造材がいる。やっぱ木が凡庸性が高い。

気になってた材木置き場があるの。気になって店がお盆で閉まってたけど写真だけ撮らせてもらった。

ディズニーランド以上の宝の山だよ。

この町のいろんなところに打ち捨てられた木戸に塗ればいいんじゃないの?

木戸の窪みにさぁ。
塗れば壁画みたいな大きな一枚壁の迫力は出せないけど、いいんじゃないの?
ええんとちゃうの?
新旧混在こそ町興しの胆やろ?

僕が今回町歩きや文学やらの歴史や風土や人を通して誘発されたアクションは”Salvage”だ。サルベージとは沈没船を引き上げること。

この土地には別れが多い。
湊は波止場。来たものがやがて還ることをあまりにも知り過ぎている。
かつての栄枯も今は昔。
ある意味年中お盆の様な彼岸の地でもある。
しかし、ある俳人のことばによれば、「廃りかたに嫌味がない」土地。多くのそのかすれて薄れて廃れてしまったものに再度スポットライトをあてること。
そんなことが自分がこの土地でしたいこと。

そして、僕は廃業した故人の左官道具を受け取った。

その鉄くずになるはずだったものを磨いて、僕が使う。

そのように、打ち捨てられた木戸。心にずっと引っかかっていた。あれに、土を塗れないか。もともと朽ちたもの。いまいちど、なんかできないか。

真夜中の三時過ぎ。もう寝て明日は木戸を貰えないか聞いてみよう。

木戸、木戸、木戸組んで土塗って小屋。

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