アート

第七回 晴漁雨読の町で / 樋口裕一

2010.08.31  by

トントントン!!トントントン!!

建てこみも佳境に入り、現場に金槌の音が響く。

 

 

キュルキュルキュル。

少し時間を遡る。

滞在制作の話を頂いた僕は、三国の縁の文学作品と絡めた作品を作るという意向を受けて、荒磯遊歩道や古い街並の中に設置された云われ書きの看板や石碑などを巡り文人達の足跡を辿ったのですが、その後さらに深めたいと思い、図書館へ向かったのであります。

広々とした館内は本の並びや館内の雰囲気が良いように感じられ、いい図書館だと思いました。そこで僕は哥川や高見順などの作家の本を探しました。受付で問い合わせると二階の郷土資料室にあるという。それは閉架図書になっていて、無機質ないわゆる蔵書保管の史料置き場といった感じでした。担当して下さった司書さんはとても丁寧で親切な対応をして下さり、目当ての本を見つけることができたのだけれど、館外貸出しはできないものが多かった。しかしそれ以前にこの土地に住民票がない自分はそもそも貸出自体ができなかったのだった。結局その日は書名を控えて、後日三国湊魅力づくりプロジェクトの代表の方に代わりに借りて頂いた。

図書館自体には問題はなかったようにおもいますしそもそも観光客はあまりローカルな図書館を利用する機会はないかと思います。しかしその後も三国の文学本を読もうとしてもなかなか町のなかで接点が見つからない。三国は文学の町であるはずなのに、よそからきた人が観光地巡りから更に一歩踏み込もうとしたときの窓口がどこにも用意されていない、そんな印象を受けてしまいました。図書館や町の本屋は地元民仕様で三国の文学と観光客をつなぐ役割としては十分には機能していない。荒磯遊歩道や神社の石碑も、云われ書き看板も十分に有用で素晴らしいと思いますが、文学と蜜月の関係である本という媒体を通して三国の文学を気軽にあじわえる場所があればなあなどと思ったのです。自分は京都や東京の神保町などの店ごとの品揃えに主人の世界観が反映された古書専門店や本を珈琲とともにゆったりと味わえるブックカフェが好きでありましたので尚更そのように思ったのであります。

そんなこともあり、のちに作品の構想を練る中で、本が読める空間をつくりたいと思うに至ったのはごく自然な流れでありました。それもただ本が読めるのではなく湊町の風情を感じられる様な。発想としては無人の野菜販売所や、バスの停留所にある小屋のように、その土地の風土や文化が歳月を経てしみ込んだような場所。とはいっても、もとの空間は何の変哲もないスチールの車庫。その空間を一からつくらなければなりません。そこでこの三国の町の歴史や風土をこの空間に取り込もうと、流木を集めたり、木戸を集めたりしているのです。

いま現在、照明に使えるような大きな浮きや、錨(欲を言えば和錨)、漁船の綱、網、帆船に使われるような帆布など、湊町ならではの潮の香りのするようなものを広く募集しております。持ち主にとっては処分を待つばかりのものであっても、手の入れ様と工夫次第でいま一度輝くことができたらいいなあ、と思っております。磨けばまだまだ光るものが沢山眠っていたり、打ち捨てられていたり、町々を巡る中で至るところでそんなものと出会い、僕はそれを磨きたいと自然に思いました。

 

さて、睡魔が襲うのでそろそろ寝ようと思います。あ、日付ももう変わったというのにまだ晩飯も喰ってなかった。そういえばお腹吹田市山田西(←実家の住所)さっさと喰って寝よう。毎日コンビニ弁当とかレトルトやと味気ないなあ。贅沢ぬかすな阿呆ぬかせ。自分でチャチャっと作って見晒せ。ものつくりの風上にも置けねえ。くうねるところにすむところ、パイポパイポのシューリンガン、坊主が屏風に上手に屁をこいた….

 

…………………………………………………………………………………………………………..ハっ?!

腹減るわ眠いわでなんだか訳のわからないことを口走ってしまいました。まだまだ残暑が厳しいですのでみなさんくれぐれも熱中症にはお気を付け下さいね。さてさて、気を取り直して次回は、「湊文学」をキーワードに現在日夜制作中のこの空間の行く末を、敢えて夢見がちだろうと構わずに提案してみたいと思います。芸術なんて夢見がちであることが仕事であると思う今日この頃です…しかしその夢をなんらかの形で具現化しないことにはハナシになんねえぬあ。やります。やらせてください。がんばります。

 

 

続け。

 

 

 

 

 

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