第2回ふくいミクマリ会議~パネルディスカッション~

2回ふくいミクマリ会議

日時:2010227(土)

2部 パネルディスカッション 14:4516:00

「ミクマリからの贈り物~今の時代、これからの未来の自然とのかかわり方~」

【パネリスト】
鋸谷茂氏(フォレストアメニティ研究所副所長) 
長谷川浩氏(環境パートナー池田 理事)
天谷菜海氏(サクラマス・レストレーション事務局)
伊藤直樹氏(福井新聞社 コウノトリ通信)
山崎一之氏(NPO法人三国湊魅力づくりPJ副理事長)



竹内:それではシンポジウムの第2部のパネルディスカッションなんですけれども、その前にここで少々お時間をいただき、緑のリレープロジェクトの方の活動報告の方を少々させていただきます。

私たちNPO法人三国湊魅力づくりプロジェクトは、もともと町おこしから始まり、歴史・文化部門、観光部門、環境部門の大きく3つに分かれていて、そのうちの環境部門が「緑のリレープロジェクト」です。観光地でもある海岸近くの松林が、松くい虫により壊滅的な被害を受け、立ち枯れしていました。東尋坊や雄島も近く、景観も損ない、通学路や観光ルートの道に倒れてくる恐れもあったため、ボランティアの力で何とかしようと私たち「緑のリレープロジェクト」は立ちあがりました。

去年の、去年の天皇陛下の全国植樹祭なんですけど、これを機に、行政の方で枯れた松の処理に力を入れ始めたお陰で、道路沿いの枯れ松はほとんどなくなってきました。それで、私たちみどリレーの当初の目的は果たされたということで、現在は里山の方に力を入れて、荒れた里山や耕作放棄地の方の活用するモデルとなるよう取り組んでいます。

現在、活動フィールドは「ニノサクじいちゃんの森」という愛称をつけてまして、三国町陣ヶ岡の放置されていた里山を借り受け、まずは下草刈りと間伐、危険木、倒木の処理等を行い、光を入れることによって森を活性化しています。子供も大人も遊べて、学べる森を目指し活用していく予定をしています。毎月1回、里山での実践活動をしたり、専門家の講師を招いて森の勉強会の方を行っています。他にも、県内外や都市の住民を巻き込んで、2泊3日のワークキャンプや1週間のワークキャンプを行って、刈払機やチェーンソーの安全講習会を行ったり、里山の実践作業。里海体験。里山の実践活動のほか、里海での体験、耕作放棄地の開墾、ドラム缶を使った炭焼き、草木染め、きのこ作りなども行っています。もちろん山菜やきのこ、栗やアケビなど森の恵みもしっかりいただいています。

しかし、何十年、何百年と人が関わり続けることによって恩恵を受けてバランスが保たれてきた里山を、自然の中での循環型の生活から離れてしまった今の我々では維持し続けるのは実際には難しく、今回のミクマリ会議のディスカッションのテーマにもさせていただきました「今の時代、これからの未来の自然とのかかわり方」という部分では試行錯誤の状態です。

人工林は木材の価格の低迷で手入れをされず、密度が高くやせ細った手遅れ林が広がり、里山は化石燃料に依存するエネルギー革命以降、利用されることなく放置されて荒れ果ててしまっています。松林は利用されないことによって松に向かない土壌になり、弱体化が進み、松くい虫により壊滅的な被害を受けています。大雨が降ると、山の保水率が少ないため土砂が崩れ流域に押し寄せ、藪になった里山はゴミの不法投棄の山になり、枯れた松は倒木の危険性を持ち、防風林を失った海岸線では強風が民家を吹き抜けていきます。ガスも電気も使わずに、薪を拾い、炭を焼き、落ち葉を集め、自然の恵みを得ていく生活には、今からは戻るのは実際難しいと思います。そんななか、何十年、何百年と人が関わり続けることによって成り立っていた自然が、いまバランスを崩しているかと思います

手入れをすることによって多くの人工林が。あ、すみません。手入れをするよりも多くの人工林が手遅れ林になってゆく、手入れしても材が売れない、そんな現状に対し、人工林との新しい関わり方、新しい可能性を鋸谷さんが示してくれました。森、里山、海、今の時代、これからの未来にあった自然との関わり方を模索し、行動に移していくことによって、人々の暮らしと自然が新しいバランスを取り戻すのではないでしょうか。

我々みどリレーは、草を刈り、木を間伐するだけでは持続的な活動をすることは難しい。そう思っています。今後は実践活動に加え、環境学習の場、環境体験の場、企業の研修プログラムの受け入れ先などとしても機能していきたいと考えて、他の活動団体や行政、地域社会、地元企業、都市の住民とのネットワークづくりにも力を入れていきたいと思っています。

それで、そんななか「九頭竜川流域ネットワーク・ミクマリ」形成のためにも、本日の「第2回ふくいミクマリ会議」、本日発行の「ふくいミクマリ通信」というものが現実となってきました。このネットワークは、各団体にできるだけ負担をかけない程度に、ゆるやかな繋がりで少しずつ広げていきたいと思っています。時には協力し合って、時には刺激を受け合いながら、より一層の活動の充実とその広がりに期待し、九頭竜川流域ネットワークを築いていきたいと考えております。以上で、三国湊魅力づくりプロジェクトの報告を終わらせていただきます。

それではすみません。お待たせしました。パネルディスカッションの方に移らせていただきます。パネルディスカッションなんですけれども、テーマとして、「ミクマリ会議、ミクマリからの贈り物〜今の時代、これからの未来の自然とのかかわり方〜」というテーマで行います。それでは、パネリストの皆さまの紹介をさせていただきます。環境パートナー池田の理事、長谷川浩さんです。

(拍手)

長谷川:よろしくお願いします。

竹内:サクラマス・レストレーション事務局、天谷菜海(あまやなみ)さんです。

(拍手)

 

天谷:よろしくお願いします。

竹内:福井新聞社コウノトリ支局、伊藤直樹さんです。

(拍手)

竹内:先ほど基調講演していただいた、フォレストアメニティ研究所副所長、鋸谷茂さんです。

鋸谷:よろしくお願いします。

(拍手)

竹内:司会進行は、三国湊魅力づくりプロジェクト副理事長、山崎一之が務めさせていただきます。

山崎:よろしくお願いします。

竹内:このメンバーでディスカッションを行っていきますので、よろしくお願いします。じゃあ、お願いします。

山崎:これから、パネルディスカッションを始めますけれども、まず最初に4人の方にどういう活動をしているかというのから説明してもらって。それから議題の方に入っていきたいと思いますのでよろしくお願いします。ではまず、長谷川さんの方から。

長谷川:すみません。池田町からやってきました長谷川浩(はせがわひろし)と申します。座ってちょっとお話させていただきます。今日はプロジェクターで簡単に、簡単かどうか分かりませんが見ていただけるようにしてきました。適当に見てください。環境パートナー池田というのは、池田町でですね、平成15年に環境基本計画を100人が集まって作ったという。そのなか、その環境基本計画を実際にちゃんとね、計画を立てるだけではなくて実践する団体がいるんじゃないかということから生まれた環境パートナーです。実践するのにも40名ほどがいるわけですけれど、実際のところ、それを町民にみんなに広げたいということで、こういった環境広報誌というのを毎月全戸配布、1200軒ほどのところに配っております。これが主たる活動でございまして。スライドにありますのが九頭竜川水系の末端の部分ですね、足羽川の一番上流に位置する冠山です。帽子の形をしているという、関係ないところですが。次にいきます。池田町のシンボルです。

池田町は、こちらと全然違います。町土の92%が森林ということで、このへんのことを非常に意識していかなあかんわけですが、実際のところ、あの写真を見てもお分かりのように、ほとんど住居スペースとか農地も少ないわけでして、約8%のところでいかに生産性をあげていくかということとかを、特に大きな産業もないものですから、農業の付加価値を高めるような活動が盛んでございます。そして次、よろしくお願いします。

池田町はそういった、とにかく農地が少ないので、その付加価値を高めるために、有機農業とか言ってるわけですけれども。食Uターン活動と言いまして、約8年前ですね。生ゴミを堆肥化して、ゴミの減量となりますし、それで有機肥料を自分のところで作って、これをもって作った野菜を実際に販売していくというような仕組みを考えまして、それを地域資源連結循環と言っておりますけれども、そういった農村にしていこうじゃないかということで、菜の花の油を作るということも含めて、いろんな循環の仕組み。人も循環していくというようなことで、ボランティアをですね、募って、ボランティアで、今の堆肥化するようなのはプラントに生ゴミを運ぶわけですけれども、約100人、今は100人ちょっと切れていますけれども、100人ぐらいのボランティアで堆肥を作るような仕組みをやっております。これは。じゃあ次ですね。

この食Uターン活動というのは、盛んだった後ですね、実際に環境パートナー池田っていうのは平成16年に発足したのですけれども、その環境パートナー。今ここには載っておりませんが、当時エコポイント、いま国がやっておりますエコポイント事業とかいうやつの走りになる、レジ袋を断るとポイントをくれるというようなことをやっていたんですが、最近になりますと、先ほど言ったカエル通信、こういったカエル通信、広報誌をずっと出し続けておりまして。それ以外には、川の水質調査とか、登山をしたりとかですね。最近の子どもたちは火を付けることもできなかったりするので、山でキャンプみたいなことをやってみたりとかいうようなやつの体験型の企画。なお、そのカエル通信については、みんなが編集も、とにかくいろんなところから記事を集めていただいたり、手分けしたり発送作業なんかをみんなで仲間でしております。あとは年に1回ぐらい、環境集会というのをやっておりまして、それにみんなで集まって、意識を高めるというようなことをしております。はい。続きまして。

森を育てるということなんかは、正直言って池田町のですね、約65%が人工林で。いや人工林が40%ですね。40%じゃなくて、35%ですね。自然林が65%ということで。まだ手つかずの自然がいっぱいあるということなんで、意外とこの広葉樹を植えるということをやらないわけなんですけど。そういったことも、やっぱり世の中の、ドングリの木を植えようとか、いろいろな広葉樹の木を植えようとか言われておりましたので、そういったことも最近体験型の企画としてやってみたところです。

3年前に、ある農家の方、というか町民の方が、ブナの種が7年に1回豊作になるんだ、というようなものを畑に蒔いたら伸びてきたと。そのまま放っておくと駄目だからというんで、環境パートナーの方でカエル通信で呼びかけて、三国からも漁師さんも参加していただいたりとかして。協力していただいて有機連携の走りだと思っていますが、やりまして。いまたくさん苗が、下の写真のように育っています。これ、またね、植えたいという方、皆さん言ってくださったら差し上げていると思いますので。とにかくこの苗を機会あるごとにイベントのなかで植えていこうということを今やっております。やっと3年目です。ようやく。

はい、次、お願いします。池田町は、とにかくみんなで町ぐるみでやるっていうのがすごく得意でございまして、お金もないので菜種油を、天ぷら油の廃油ですね。町内で集めておりまして、そんなものを固めて、明かりを灯して、とりあえずこうやってみんなで眺めて灯すという、たったそれだけです。それが何になるのやと良く言われますが、そこら部分は、一応タイトルは「池田エコキャンドル」というふうなことになっていますけど、エコエコと環境とかなんとか言う前に、日々、昔、菜種油で灯りをとっていたそんなことを思い返していただいたり、今の世の中がすごくみんな恵まれているということから気がついて欲しいということで、こんな企画をやっております。万の灯り揺れて心ひとつ。なんとかして、町をあげてみんなで一緒になって、環境のこととか考えて欲しいというような企画です。非常に大人気で5年続けております。

さあ、続きまして。環境パートナー池田というのは若干40名ほどの組織で、今のところ主な活動は広報誌で、地域の中のいろんな人の話題を取り上げて紹介するというものなんですけれど。こういったことをやっている団体、たくさんあります。広報誌じゃなくてね、町内でいろんな環境団体がいっぱいいて。各集落とかでいろんな川の掃除だとか、農地保全というような取り組み、散々されておりまして、それをひっくるめて国の農地環境保全事業というのに実践活動団体として、池田の里・水と土を守る会になっていますけれども、町ぐるみで農地、水を守っていこうというような取り組みが一昨年からですね。もう3年目になりますけど、やられております。あわせて池田の有機農業を普及するための生命に優しい米づくりだとかですね。それを進めるために、いろんな勉強をしていただくために、田んぼの生き物調査だとか、河川の掃除なんかはもちろんですけど、そんなことを町をあげてやっておりまして、そんなことをカエル通信で散々告知し、池田町が町ぐるみでとにかくそういったことを進めております。

はい。続きまして。この農地水環境保全の水と土を守る会というようなものができてから、それまで町おこし21という団体さんが一生懸命、十何年続けてセイタカアワダチソウの駆除とかですね。外来種を駆除しようという運動なんかも、一気に池田町中でやられるようになりまして、池田ではセイタカアワダチソウをその時期に見つけることもなかなか難しいくらいに。実際にはありますけれども。かなり皆さんが気をつけてくださって、少なくなっています。本当にこれが害になるのかとかいろんな賛否両論があろうかと思いますけれども、池田町の場合はこれをやることでみんなの意識が高まる、生態系を守ろうと意識が高まるというような位置づけで継続しております。右下は最近のはやりというかですね、増えていても誰も駆除していませんがオオキンケイギク。ご存知の方がいらっしゃるかどうかわからないですが。これ、実は栽培したりすると、罰金300万円とかね、企業だと1000万円とかっていうのを取られるそうですが、こんな外来種もいっぱいあって、実はたくさん生えています。運搬しても駄目とかね。変な法律ができたものでして、そんなことの駆除もやっております。はい、次。

後はもう、ちょっと時間もないので手短にいきますけれども、農村力デザイン大学とかですね。生き方を学んでもらおうということですね。農村の持つ力、例えば食とかですね、田舎ならではの伝統でずっと残ってきた人の生き方ですね。そんなことから学ぼういうことで、年4回の大学が開催されています。全国からいろいろな講師をお呼びしているので、そのために全国からそれを勉強しに参加者があるということでして。これもひとつの池田町のなかでNPOがやっている活動です。はい、次お願いします。

最近では、池田町の農業の分野ではですね、いろいろ散々やることをやってきたんですが、林業の方のなんか新しい取り組みがちょっとなかったわけでして。これが自分とかですね、あと企業のみなさんも参加していただいて始まったPecoの会です。基本的にですね、自然エネルギーの利用をもっと促していこうと。なかでも池田町も山ばっかりですから、特に今、杉の木を間伐してもなかなかお金にならないとかっていうことですけど。杉の木を燃やすのに都合のいいストーブを考えてみようか、とか。実際に薪割りを体験するような場をですね、去年の暮れにはちょっとお祭りをして体験してみたり、やってみたりですね。福井県レベルで繋がるような、エネルギーのことを考える場。バイオマス連合というんですが、日だまりの会というようなものに参加するなどしてですね。とにかく、ようやく木を使おうというような部分のことに取りかかり始めたというところです。はい。

こんな環境パートナー池田で、なかなかどこまでが自分らの活動がよくわからないところですけど、言い続けることで広がっていかないかなということで頑張っております。はい、すみません。以上です。

山崎:はい、ありがとうございました。あとで皆さんに自己紹介した後に、パネルディスカッションしながら、会場からもいろんなご意見をお聞きしたいので、質問があったらまた溜めておいてください。じゃあ、次、天谷さん。よろしくお願いします。

天谷:はい、よろしくお願いします。こちらのNPO法人三国湊魅力づくりPJさんでは、私は夏休みに子どもエコスクールの方で毎年参加、お手伝いさせていただいておりまして、いつも大変光栄に思っております。ありがとうございます。今日はこちらのほうにお呼ばれいただきました。私の活動はサクラマスレストレーションという活動なのですけれども、九頭竜川はちょうど今そのシーズンなんですけれども、サクラマス釣りが有名で、2月から5月のシーズンになると、全国各地から美しい、三国の海から上がってきました近隣のサクラマスと出会うために、たくさんの釣り人がやって来ることは、皆さん新聞などでご存知だと思います。2月にですね、雪の降ってるなかを釣っているのを見ると、とても太公望という言葉では当てはまらない、非常にスポーツフィッシングと言われている新しい釣りで、エサ釣りは禁止なんですけれども、疑似餌を使ったルアーフライフィッシングの釣りなんですが、雪のなかで腰までつかって釣っているのを見ると、これは釣りじゃないな、と。修行だなといつも思っています。私の住んでいるところは永平寺町なだけに、本当に九頭竜川の修行のように見えるんですけれども。なぜこんなに人気があるかというと、ただサクラマスが釣れるからというわけではなくて、九頭竜川というのは新しい釣りの釣り道具とかノウハウを開拓する時代に、いまから20年ぐらい前になると思うんですけれども、そのパイオニアたちが全国から集まって開拓の舞台になったのが九頭竜川ということで、非常なステイタス性というか、存在感のある川なんですね。いま他県がですね、なかなか鮎釣りの方が低迷している関係があって、九頭竜川に続けとばかり、いろいろな川がサクラマス釣りに力を入れて入漁証を発行するようになったんですけれども、九頭竜川のステイタス性、それからブランド性というのは不動のものだと思います。なかなかそういう面では知られていないんですけれども。

そういう川なので、全国のですね、本当にマニアックなというか、川が大好きで魚が大好きな人たちがたくさん集まって来まして、私も川に、私は釣りはしないんですけれども。川まわりをしにちょっと行きますと、たいがい知り合いがいっぱいいますので捕まりまして。サクラマスを捕まえた方がいいと思うんですけど私が捕まりまして。いろいろと熱く話を聞かせてもらう。全国から来ていますから、どこどこの県ではこうだとか、どこどこの川ではこうだとか、いろいろな話を聞かせてもらうわけで、お陰で私はいろんな全国各地の川を行ったような気になっていますし、サクラマスも100匹くらい釣ったような気になっているんですけど。非常にみんな仲が良くて、ネットワークというか。よその川は例えば富山県とか秋田県とかでも有名な川があるんですけど、みんなこそこそと釣ってポイントとか教えないって言うんですけど、九頭竜川は非常に情報交換が充実してまして、みんなで教え合って、地元の人もやって来たら、地元の人も親切に教えてくれるというので、非常に居心地が良い、九頭竜川にいつもお世話になっていますと言われる、そういう素晴らしい川が近くにあって、私はいつもいいなと思っています。

そういうふうななかで、やっぱり河川環境がたぶん影響であるとか、それから堰の影響であるとか、なかなか川の連続性というものが断ち切られてしまって、それでサクラマスというのは最上流から海まで行ったり来たりする川なんですけれども、それが出来なかったことによって激減していくんですね。それを案じた釣り人たちが自分たちで資金を集めて、それで放流をしようということで、17年前、1993年に結成されたのがサクラマス・アンリミテッドというグループで、これは私たちの今の活動の前身になるグループなんですけれども、それで17年間にわたり40万匹のサクラマスの稚魚を自分たちで九頭竜川に放流してきました。魚に対する権利は一切主張しないということで続けてきました。そして河川清掃であるとか、あるいはこちらの第1回目で出場された御陵小学校の上田先生ですよね。私の近所の先生ですけれども。そういう地元の小学校と連携して、そして子どもたちの環境学習などのヤマメのサクラマスの稚魚を使って行って取り組んできました。

それでですね、長いこと私たちが切望していた福井県によるサクラマスの事業というのがですね、平成19年に現実になりまして、こちらのポスターはですね、昨日福井県の水産課の方ができましたと言って昨日届いたばかりで、たぶん皆さんが初めて、まだどこにも貼ってないかもしれないですけれども、今年で2回目のポスターで、福井県が作ったサクラマスのポスターです。ここにちょっといろいろ説明が書いてあるので、またお帰りの時に見ていただきたいんですけれども。どういうことをしているかといったら、私たちが放流した魚というのは、池田町に、部子川(へこがわ)にあります中村養魚場さんのところで17年間育てていただいて、放流していたんです。福井県はまず九頭竜川から親をとって、その親から卵をとって、そして中村さんのところにいったん、またお預けして、それで育てて。あ、違いますね。親をとって、親から中村さんのところに、池田に行って、そこで人工授精して育てて、それからまた川に返すというふうな事業で、まさしく九頭竜川産のサクラマスの増殖ということになります。それが現実化したものなので、私たちは今度はじゃあ私たちなりに一歩進めて活動を発展させてなにかをしたいということ。やはりいくら放流しても、一番私はやっぱり大事なことは、川で命を繋ぐということだと思うんですね。それは放流した魚であっても、また再び川で卵を産んで繁殖するという自然再生産といいます。本当は再生産という言葉を英語にしたかったんですけど、サクラマスレストレーションで、みんなにまた舌を噛んでもらおうかなと思ってややこしい名前にして申し訳ないんですけど。レストレーションというのは再産という意味です。本当は九頭竜川、サクラマスの自然再生産のための九頭竜川の再生なんで、九頭竜川レストレーションなんでしょうけど、そうすると国土交通省さんみたいになってしまうんで、ちょっとサクラマスという言葉を残しました。

実際にじゃあどういうことをやっているかということをですね。ちょっと写真をお願いします。はい。これはですね。まず永平寺川という、九頭竜川の支流で永平寺川という支流があって、ここにサケとかサクラマス。NHKさんもよく取り上げてくださっているんですが。サクラマスはよく支流で産卵したがる。したいんですね。そして入ってきて、だいたい秋に産卵しようとするんですけど、まず問題は川底。川床なんです。川床に、これは先ほどの鋸谷先生の話と大きく関係しているんですけど、土砂がいっぱい溜まっているんです。他の魚もそうだと思うんですけど、大事なのは小砂利と小砂利の間にすき間があって、そこに水通しがよくて、酸素が行き渡ることでそこで魚の卵が育って、それが孵化するんですね。それが上に上がるまでしばらくじっと川のなかで、石と石の間で生活しているんですけども、そこがいま全部、今たいがいの川は土砂で埋まってしまっている、という状態です。そうするとせっかく遡上してきて、雄と雌がペアになって卵を産んでも、そのなかで窒息死してしまうんですね。それで福井県の土木事務所さんに許可を得まして、みんなでこれ。東京とか静岡とか名古屋とか県外から30人くらい釣り人が集まって、それでいったんちょっと。石を出してはいけませんから、40cmくらい掘り起こして土砂を流して、大きさをこれはより分けてちょうどいるところです。

その次の写真をお願いします。はい。そしてですね、それを掘り起こしたところに再び大きい石から順番に上にずっと積み上げていっています。そうすると、そこに酸素が水通しがよくて、酸素が行き渡るので、卵を産んでも生きていけるということで。その次、お願いします。

これはちょうど、創生した産卵場にはですね。だいたい6〜7平米ぐらいを一回やったんですけれども、メンバーでモニタリングをすると確実にその場所にサクラマス、あるいはヤマメがやってきて、産卵するのを観察しているということで、それを見ていたですね、地元の人たちが自分たちも地元の者こそ立ち上がらないといけないということで、もうひとつ永平寺川にサケ・サクラマスの溯上を実現する会というものが結成されまして、今度はその、地元の人たちの会が働きかけて、そこに永平寺川のところに堰があるんですけれども、その堰がやっぱり上まで上っていかないと産卵する場所が広がらないということで、魚道を。魚道という魚を通る道、階段のような道があるんですけれども、そこを改修して欲しいという要望を出したらすぐに通りまして、今まさに永平寺川では、最初の=らくそこ=ところを魚道の改修をしている最中です。非常に魚に優しい魚道づくりを私たちも一緒に参加して、いろいろと話し合いながら作っている最中です。

そのほかですね。次、お願いします。これはですね。看板なんですけど。何をやっているかというと。その土砂がいっぱい溜まるとですね、浚渫 (しゅんせつ)をやっぱりしないといけないんですね。これは融雪の取水口であったり治水場の問題だったり、浚渫(しゅんせつ)をしないといけない。そうすると時期的にいろいろなことを兼ね合わせると、漁協さんが鮎釣りをやっていたりいろいろありまして、どうしてもサクラマスが卵を産んだ直後に重機が入らないといけないんですね。だんだん住民意識が高まって、卵をたくさん産んでいるのに可哀想という声も多くなってきて、これは卵をね、スーパーで売ってますけど、川から卵を取るには福井県の県知事の許可がいるんですけども、特別ちょっと大げさな看板を立てまして、川の中に入って、そっと石を掘り起こして、卵を救出している看板です。次お願いします。

これは、やっている最中なんです。雪が降っていてですね、水温が4℃くらいなんで、ちょっと大変だったんですけど。上にいる青いのがNHKの=ほんどうじゅんいち=カメラマンで、カメラを箱メガネに入れて、その黄色い人がアシスタントで、そのカメラに傘をさして、左手で魚の卵を受ける玉を水中に入れているという、ちょっと大変な映像です。はい。次お願いします。

これはですね、私たちがいったん救い出した卵が孵化した映像なんですけども。こちらのほうは、福井県の、福井市の中の方にあります福井県の内水面総合センタ-さんで特別にご協力いただいて、現在いったん預かっていただいています。サケもサクラマスの順調に育っておりまして、また春になったら3月ぐらいになったら、元の永平寺川あるいは九頭竜川に返してやろうかなと思っています。そういうふうな、はい。主に活動をしています。詳しいことはこちらのミクマリ通信の方に書いてありますし、いまブログを立ち上げていますので、また興味のある方はご覧になってください。ありがとうございました。

山崎:ありがとうございました。拍手する?

(拍手)

山崎:ありがとうございました。ちょっと質問なんですけど、僕はサクラマスっていうのは去年まで知らなかったんですが、皆さんサクラマスご存知ですか?知っている方はちょっと手を挙げて。知らない人の方が多いですね。知らない人、サクラマスを初めて聞いた人。3分の1くらい。それくらいの認知度です。

天谷:そうですね。すみません、私、長くなってしまって省いちゃったんですけど。サクラマスはですね、九頭竜川に昔から住んでいた魚で、皆さんヤマメというとご存知だと思うんですけども、きれいな水の川にしか住めない渓流魚、渓流の女王と言われている魚ですけども、それが卵から1月頃にかえると、夏ぐらいに、群れになって生活しているんですけど、えさ取り競争をするんですね。そうすると群れのなかで、一番エサが獲れなくて落ちこぼれ、負け組みですよね。落ちこぼれはですね、この川にいてはエサが獲れなくて大きくなれないんだと。そうすると夏とか秋とか出水の時に本流に出まして、そしてその年の冬か、いろんな定説が、説があるので正確にははっきりしていないんですけど、その年の春くらいに海に降りるわけです。そうすると海というのは栄養が豊かなので、川にいると40cmぐらいしか大きくなれないんですけど、海におりると大きいものは70cmくらい一気に大きくなるんですね。それでもう、体重は100倍くらいになります。今までですと4kg級のものも見つかっていて、それが春になると、また生まれ故郷の母川回帰で、自分の生まれた川に帰って来るんですね。それで秋まで、その川にいないといけないっていう、ここが減る原因なんですけど。1回夏を越さないといけなくて、それで秋になるとまた支流のできるだけ上流に上って産卵するという、そういう生活をしています。ですから相手が、ペアがサクラマスサクラマスもありますし、ヤマメヤマメもありますし、ヤマメサクラマス、雌雄両方、いろんなパターンがいるということで。最近、なかにはですね、海に行ってすぐ戻ってくるものとか、いったん通しているものとか、いろいろいるということが分かってきました。はい。

山崎:これ、とても面白い魚なので。ストーリー性もありますし、夢もありますし。いろいろな形で分からないこともたくさんありますし、今後とも注目すると面白いんではないかと思います。次に伊藤さんのほうから、よろしくお願いします。

伊藤:福井新聞のコウノトリ支局というところからきました伊藤直樹と申します。皆さんよろしくお願いします。いま魚の話でしたので、今度は鳥の話も絡めながらですね、お話をしていきたいなと思います。

いま写真に写っているのが、コウノトリ支局というところです。越前市の西の方にある白山地区坂口地区、この両地区を重点的に取材をする、極めてローカルな支局です。昨年の4月に開設されました。白山坂口地区というのは里山の典型的なところと言われていまして、里山というのはご存知のとおりですね、大自然と都市部の中間にあって、山とか川とかそういった自然のすぐ近くで、集落があって人が暮らして、田んぼや畑を耕して。人と自然が共存しているところと言いますか、自然の恵みを上手に使いながら、自然と折り合いをつけて暮らしているところというふうに言われております。そこにですね、建てられてから100年ぐらい経っていると言われているような古民家を地元の人からお借りしまして、そこに3ヶ月交替で新聞記者が住み込んで、そこからいろいろな記事を発信しています。次の写真をお願いします。

はい。このようにですね、囲炉裏なんていうのもありまして、ここに地元の人に集まっていただいて、お酒を酌み交わしたり、なんてこともしています。次の写真をお願いします。

はい、このようにですね、座敷もあってですね。先ほど鋸谷先生の話にもありましたけれど、座敷にたぶん寝転がるときっと物事の本質が見えてくる。僕もここにたまに寝転がりながらですね、本質をついた記事が書けないかどうかと思っているんですけど、奥の方には仏壇もありましてですね、ひとりぼっちで夜中でそこに寝転ぶ勇気もなくてですね、なかなか本質をついた記事を書けているかどうかというところですね。その3ヶ月交替で新聞記者が住み込むんですけど、僕は4月に開設されてからトップバッターとして春、4、5、6月、ここに住み込みさせていただいています。支局というからには新聞記事を書くんですけれども、取材して書くだけではなくて新聞記者が農作業をする、田んぼに入る、そういった活動もしています。どうして新聞記者が田んぼをするのか、どうしてコウノトリという名前をつけたのか。その辺のところをちょっと今説明していきます。

次の写真をお願いします。はい、コウノトリ。国の特別天然記念物で田んぼにいる、あるいは湿地にいるようなカエルとかドジョウとかそういったものを食べる肉食の鳥です。ロシアとか、世界的に見るとロシアとか極東にたくさんいるんですね。3000羽ほどいると言われていますけれども、渡り鳥で越冬をするために日本に来たと。そうしたところ日本には田んぼがあってえさがたくさんある。これはいいところだと住み着いてしまったのが、いわゆる日本のコウノトリと言われています。昔は日本中どこにでもいたそうで東京の浅草にもいたし、福井の空にも普通に飛んでいたそうです。それが高度成長期以降ですね、田んぼの土地改良が行われたり、田んぼで農薬が使われるようになった。そういうエサとなるようなものが減ったことで、日本にいた野生のコウノトリというのは絶滅してしまうんです。それが1971年のことです。福井県というのは、小浜市とか、あるいは昔の武生市、こういったところに、その絶滅の直前まで野生のコウノトリが繁殖していたところと言われています。次の写真をお願いします。

はい。これは1970年に、コウノトリ支局がある白山地区に飛来したコウノトリ。くちばしの先っちょが欠けていてですね、十分にエサが獲れなかった。それを可哀想に思っていた地元の方々がですね、地元の小学校の子どもさんも含めて、ドジョウとかフナとかエサをたくさん集めて与えてあげた。でもエサがあってもですね、くちばしが欠けていて十分に食べられずどんどん衰弱していって、コウノトリが死んでしまうということで、捕獲してですね、当時兵庫県の豊岡市にあった人工飼育所、今の兵庫県立コウノトリの里公園ですね。そこに搬送されたと。その後、長生きして、一羽の娘と4羽の孫をもうけています。

兵庫県の豊岡市では野生のコウノトリが絶滅して以降、ロシアから譲り受けたコウノトリをもとに人工増殖を重ねて、今では100羽を越す、140羽ちかいコウノトリが豊岡市周辺を舞っていますが、日本の野生のコウノトリとは言えないんですが、コウノトリはいる。そういうコウノトリをですね、もう一回越前市に、福井県に呼び戻そうと思っている方々がおりまして、支局を構えた越前市白山地区にも、そういう熱い想いを持っていらっしゃる方がいる。じゃあ、コウノトリがもう一回住み着いてくれるためには、どうしたらいいのか。エサがないといけない。エサはどこにあるのか。田んぼにある。でも農薬を使っていたのでは、また同じ歴史が繰り替えされてしまう。無農薬の田んぼづくりをしようじゃないか。そういう農家の方々が出始めました。福井新聞社はそういう農家の方々を応援することで、コウノトリが住めるような。コウノトリが住めるような環境っていうのは、きっと人間にとってもいい環境じゃないだろうかという思いを込めて、そういう方々を応援しようということで、というわけでコウノトリという名前をつけた支局を、このコウノトリゆかりの地、越前市白山地区に設けたということです。

次の写真をお願いします。これはですね。コウノトリ支局のすぐそばに、1.2反の田んぼをお借りしまして、新聞記者ですね、私たちが去年耕した田んぼです。次お願いします。こういうふうに看板を立ててですね、コウノトリ来てくださいというような願いをこめて。次お願いします。これ、僕ですと。町のど真ん中に生まれましたので、田んぼに入ったことも初体験だったんですけど、地元の方が非常に優しく受け入れてくださいまして、いろいろ手ほどきしてくれまして、農作業しています。こういったことを、無農薬の田んぼづくりの魅力、苦労、課題、そういったことをですね、大上段に構えた記事ではなく、素人の記者が、農作業の素人の記者が、だんだん物事の本質に近づいていく。成長していける姿を含めて生々しい記事を書いていく。それによって無農薬の課題とか、あるいは里山の農業の課題というのを考えていこうと思っています。

次、お願いします。お百姓さんがですね、除草剤使わない、農薬使わない、つまり雑草がたくさん生える。そういう雑草対策に苦労しながらようやく作ったうまい米を売らないと話にならない。農家の方と対面販売していくわけなんですけれども、そういう様子なんかもついていって取材をする。こういう過程で、ある東京の、南青山のセレブな奥様はですね、この1kg850円の超高いお米に対して「安いじゃない」って言ったそうなんですね。うまい米は日本中探せばどこにでもあると。じゃあ、どこで区別するのかといったら付加価値なんですよね。コウノトリを呼び戻したいと、そういう環境は子どもたちにとっていい環境なはず。子どもにいい米を食わしたい、孫にいい米を食わしたい。コウノトリのためにも。そんな付加価値に着目していただいて、1kg850円は安いと感じるそうです。なので里山の環境を考えるのは、そういう農業という切り口で考えていこうとなったわけですが、里山のお百姓さんだけではその責任を担うのはあまりに酷であり、消費者として農作物を買い支えるというのも、これは十分に自然環境を守る上で持続可能な社会実現のためには役割を果たせる。消費者も重要な役割を果たせるんじゃないかなと思っています。あとはちょっといいです。流しますので。お願いします。

これはアライグマの檻を仕掛けています。支局の天井裏にはアライグマが毎晩走り回っていて、ものすごい音がして寝られないというので駆除しようということです。これもアライグマは外来種ですから生態系を乱すということでキャッチ&キルをしたいところなんですが、いまだ捕まっていません。

次お願いします。これは太陽熱の光で、熱を集めて料理をするという機械です。次お願いします。こうやってカレーなんかを作ったりしてですね、自然の力はすごいなということを、半分遊びでやっています。次お願いします。こういうふうに薪を割ったりしてですね、次お願いします。それで裏山でとった、これも外来種の孟宗竹を切って来て中に御飯を入れて炊いている、と。こんな感じでですね、里山暮らしというのは、里山の農業、暗い話題が多いですけれども、こういうふうに楽しむことができる、魅力あるところなんだよ。里山暮らしもある意味おしゃれかもしれないよ、ということをですね。ほんとに被写体がもっとよければもっとおしゃれに写るんですけど、そういう魅力を伝えていけたらなと思っています。以上です。

(拍手)

山崎:はい、ありがとうございました。あの青竹の御飯は美味しい?

伊藤:3回失敗しましたね。3回目でうまい米が。

山崎:できた?

伊藤:はい。米はうまいですからね。もともとね。

山崎:うちは何回もやって失敗したから、こないだ韓国行って、また違う青竹で御飯の炊き方を教わってきたんでよろしかったら教えます。鋸谷さん、一度、また違った形で、ひとつ。5分くらいで。

鋸谷:違った形と言いましても私やっていることはひとつしかないですからね。ちょっと人工林のことをですね、ちょっとお話ししたいと思います。私どもは、人工林が問題なんですね。いま日本の森林が問題だと言われておるんですが、実は人工林が問題であって天然林は問題じゃない。例えばですね、同じ杉の木が悪いように言われておりますけれども、屋久島の杉の木をね、悪いって言う人は誰もいらっしゃらない。秋田の天然杉が、あれが花粉だしてとんでもない木だ、あれ切ってしまえという人はひとりもいらっしゃらないはずなんですね。それは何が違うかということですね。いわゆる他の樹種と一緒に共生しているというところが大きな違いなんですね。だから私どもは先ほどのご質問もあったように、杉だけの林じゃない、杉だけでの林じゃなしに、杉と広葉樹がバランス良く育つ、そういう管理をしましょうということをご提案し、それを実際に私どもは実践すると。いま私どもの研究所でやっておりますのは、いまは間伐材、間伐しなければいけない山っていうのは、間伐材を利用した方がいいんだろうということですから、間伐材も利用します。だけど山にできた間伐材をですね、100%利用しようなんていう、そういう人間のエゴの固まりのようなことはするべきじゃないと。人間が利用できる、人間活動としてするわけですから、経済的に合うものだけを出しましょう。合わないものはしっかり山において、次の木が育つ肥料にすればいいわけです。山で育ったものは、山に置いておけば、全て次の世代の樹木に栄養として生かされます。そのことを皆さんお忘れの方がたくさんいらっしゃいまして、山に木を置くと捨てたという表現をする。それはとんでもない間違いでございます。山の中で循環してるわけでございますね。その循環しているなかの一部を我々人間が利用させていただいているんだという、この基本を忘れちゃいけないですね。いま2、3日前のですね、ある新聞にですね、これから間伐材は全部出してくるんだと。日本中の間伐材を全部出してきて利用するんだと。こんなことをいまの政権、与党の大幹部が言ってるんですね。私はそれは、また人工林を増やし過ぎたことと、同じ繰り返しをですね、やりかねない。そんなことするべきじゃない。人間が自然の営みのなかで、人間が使えるものだけを少しいただく。そのいただくものはですね、決して無理をしない。

例えばね。山で山菜を採りに行きますよね。たらの芽なんていうのはもうすぐ春になると取りに行かれる人いらっしゃると思うんですけど。たらの芽が出てるから全部採るんだと行って取ってしまったら、来年から取れないですよ。たらの芽も一番上のやつだけを取って、脇芽の奴は残しておくと。そうするとまた来年、脇芽から採れると。そういう自然の中の流れのごく一部を、とにかく人間は利用させてもらうんだという気持ちで山に接することが必要だと思いますし、そういうことをじゃあどれだけ取ればいいのか。間伐材をどれだけ利用すればいいのかというようなことを、きちっと数字で示す。そんなことを私どもの研究所ではやらせていただいているということでございます。以上です。

山崎:ありがとうございました。いろいろと勉強することがありますね、僕らも。間伐材のことなんかも大きな問題だと思うんですけれども、会場の方からも今4人の方にいろいろな活動を報告してもらったんですけれども、何かこれをもう少し聞きたいなという方がありましたら挙手をしていただけませんか。ありませんか?無ければ私の方から聞いちゃいますけれどもよろしいですか?先ほど伊藤さんの方から最後にちょっと提案がありました、自然のところを直接参加して環境にいいことをするというばっかりが、環境にいいことではないよと。それに対して、それを消費する。つまり買い支えるということもとても大事なことだっていうことは、日本の人の場合は非常に希薄なところがあると思います。今でもたいがい総ユニクロ化というんですか。なるべく安いもののほうがいい。食堂はなるべく安くて、ハンバーガーも100円未満のほうがいいという方向に、だーっと流れていっていますけれども。日本の文化もたいしたことないなと私たちは思っているんですけど、それなら地元のものをいろいろ利用しようという動きもあります。まだ具体的になっていないんですけど、いま秋田さんの方から少し、間伐材も利用できるんじゃないかなということで、今日参加してもらったんですけど。少しの間。2〜3分でいいので。利用できたらいいなというので。これは消費の面から日本の間伐材を利用できないかということで、いまお考えになっているということなので、少し話を聞きたいなと思います。

秋田:すみません。急な指名でちょっと面食らっておりますけれども。私、実は山崎さんとはちょっと、昨年から知り合うことがありまして。私はフクビ化学に勤めているんですけども。いま企業にとっても社会にとっても、やっぱりCO2削減、二酸化炭素削減という問題、2020年度25%削減ということを世界に出しています。そのなかで企業としては何をすべきかということをいろいろ、うちのトップをはじめいろいろ考えております。そのなかでやはりその、今まで、ちょっと先生仰って、間伐材を100%取っちゃうことは非常にまずいということも当然理解できるんですけども。いま例えば、いわゆる燃やしちゃっている。間伐材を燃やしてCO2を削減するっていうことも当然大事なことなんですけれども、やはり生み出された木材、そのものからある物をですね、いわゆる材料っていうか、製品っていうか、そういう物づくりをしてまた還元して、それから最終的にリサイクルしていくという循環システムを作るべきだと。そういう観点からうちの会社なり、いろんなプロジェクトなり、そういうヴィレッジ、村ですね、そういうものを構成してやっていきたいという構想を今、我々は持っています。そのなかでこれからいろいろまた勉強させてもらわなきゃいけないんですけれども、やはり市とか県とか国とかですね、そういうところをリードしながら、企業、地元の人、山崎さんみたいな方々、もしくはNPOの方々、みんなが利益が出るという心の利益、それからいろいろな利益、そういうことを含めまして、やっぱりみんながウィンウィンというか儲かるというか、形を作りたいと考えて勉強している最中です。ま、そういうことです。

山崎:ありがとうございます。

(拍手)

山崎:それからですね。個人的になんですけれども、奥村さん。いろいろ地産地消という形でですね。地元の食材だとか山で採れたものっていうのを利用してくれている旅館の女将さんなんですけれども。ひと言でいいので、ちょっと説明してください。

奥村:初めまして。あわらの紅屋の奥村と申します。山崎さんと出会いまして、おけらの卵とか、きっちょんどんの豆腐とか、いろいろ福井のなかにある美味しいものを、お客様を通じて伝えたいということで、これで5,6年経っております。今回はサクラマス。毎年ちょうど今の時期もお料理メニューにサクラマスが入っているんですが、この春の時期のマスはサクラマス。それが、九頭竜が大変産地であったというのは今初めて知りまして、そういったものも発信しながら、美味しい食材で美味しいものを提供していきたいなと思っております。今ちょっと先ほどのお話の中で、やはりサクラマスは九頭竜川で皆さんでサクラマスを獲って、食べるということはいいことではあるんでしょうか。とっちゃいけないのかなとも半分感じながら、聞いておりました。はい、ありがとうございます。

山崎:去年も私も、サクラマスの話で、すごく美味しい魚ですね。って言ったら、引かれまして「アレ食べるんですか?」って言われたんですけれども。基本的に、去年来た人はキャッチ&リリースだと聞いたんですが、一部の魚屋さんは海でとったのは食べていいんだというふうなことも聞いたので、そのへんのところをもう少し聞きたいと思います。

天谷:えっとですね。日本の鱒寿司ってありますよね。特に富山県の神通川は笹の葉でくるんだ鱒寿司が有名ですけれども、九頭竜川流域にも鱒寿司文化ってのはあって、鱒っていうのは本当はサクラマスなんですね。富山の神通川も九頭竜川も鱒っていったらサクラマスなんです。ヤマメがサクラマスで、アマゴはもともと日本海の川にはいなかったので、あれは移植したものなんですけれども。アマゴは今度別の魚になるんで。そういった構造で問題になっているんですが。九頭竜川のサクラマスは入漁料をちゃんと払っていますので、そうすると九頭竜川は別にとったら、もちろん食べていただいて、売っていただいてもお土産にしていただいても構わないんです。永平寺町にはですね、木っ端寿司とか葉っぱ寿司とかですね、アブラギリの、さっきちょっと日本アブラギリの話が出てきましたけれども、アブラギリの葉っぱでくるんだ鱒寿司文化というのが伝統食でありまして、代々それが受け継がれているんですけれども、なかなか九頭竜川産のマスっていうのが絶対数が少ないので今はもう手に入らないですね。神通川の鱒寿司ですら、私は神通川に行っていろんなところを調べたんですけれども、もうほとんどサクラマスは使っていないです。皆さんよく食べている駅弁のサクラマスっていうのは、あれはたいがいアトランティックサーモンという西洋サケという輸入ものだったり、あるいは北海道の海でとれた樺太マスであったり。似ているんで、あまり書いていないんで、表示はマスってしか書いてませんので。たいがい永平寺町の葉っぱ寿司っていうのは、お魚屋さんで塩ますっていうのを、塩蔵されたものを買って、それでお酢にしめて使っていますので。それは何かっていうと、やっぱり違うものです。ですから全然、別にキャッチアンドリリースというのは私たちの前身のサクラマスリミテッドの釣り人たちが、協会の人たちなんで自主的にリリースしましょうといってやっていたので、もちろん私たちのレストレーションの仲間も自主的にリリースしています。けれども決して何も規則で決まっているわけではないので、皆さん取れたらぜひ、大丈夫だと思います。

山崎:奥村さんそういうことで、ぜひ。3月にやるんですか。

天谷:入漁期間は2月から5月の末ですね。

山崎:5月の末。

天谷:はい。最初の方がやっぱり、川から海から上がりたてがフレッシュっていってるんですけど、上がりたてがやっぱり美味しいって言いますね。

山崎:ぜひ3月にサクラマスの会をやってください。

奥村:ありがとうございます。

山崎:誰か、質問あったらお聞きします。はい。どうぞ。

質問者1:私、こういうたぐいの会は初めてって言いますかね。特に伊藤さんにお願いですが。今いろんな池田町、それからサクラマスの話ですね。その他、こないだ私、23日ですか、仲間連れて日本のなんとか100選、日本の里地里山100選ですかね。三方もそうですし、コウノトリのなんかもそうですね。要は、私はおたくは新聞社ですので、私、コウノトリとほら、生物多様性やとか、いろんなことを記事に掲載していますね。今日らのこういう話をですね、場合によってはちょっとシリーズ的に紹介するっていうのも。私はかつて小さい時に、新聞の標語だったと思うんですが、新聞は世論を作るというような、かつてこんなキャッチフレーズがあったんですね。ですからそういう意味で、それぞれ池田でこんな活動をしている、そのほかいろいろな町おこしとか、いろいろなさっていると思うんですね。特にいまはコウノトリうんぬんも、環境保全と言いますかね。みんなが助け合って生きていこうと、そんなんだと思いますので、何かそんなんで、ぜひとも新聞等でコウノトリ通信ですね、いつまで続くか分かりませんが。それでずっと紹介していただくと、読者もですね「ああ、素晴らしいことをしているな、できたら私らの小さい集落でもやってみようか」というような元気のもとになると思うんですね。そういう意味合いで、ぜひとも紹介してくださると有り難いなと。これは伊藤さんが、腰が痛いとか横痛いとか言ってなんとかってのもね、あんなのも記事で読んで、私、初めてお目にかかって、あんな痩せっぽっちっていうか、あらと思ったもんですから、そういうことで、そういう視点でもちょっと記事にしていただくとありがたいなと思います。以上です。

山崎:はい、分かりました。じゃあ、伊藤さんの方からひと言コメントを。

伊藤:記事がですね。地域の皆さんの元気になるというのは非常に有り難い話で、いま仰っていただいたそういう話なんかも読んでいただいたんだと思うと、そういう感想自体も僕の力にもなっているなと。そうですね、今後ともコウノトリ支局白山坂口からいろいろなところへ飛び出していって、いろいろな話を書いていこうと思っています。地域に元気がないと、特に里山集落をはじめ農林業をやっていらっしゃる、農林漁業をやっていらっしゃる方が元気じゃないと、僕たちの食べるものもですね、危ういと思いますし、2050年には食料危機が起きるかもとかっていう話もあるらしいですからね、その時に生き残れるのは地産地消ができている地域だと言われて。じゃあ、それの前提は何かというと、お百姓さんが元気じゃないといけない。漁師さんが、猟師が山に入る人が元気じゃないといけないというのがありますからね。そのための何か風を作れるような仕事をしたいなと思っています。

山崎:よろしくお願いします。それから長谷川さんの方から、もう少し、川を汚さないために池田町としてはいろいろなことを始めているというふうに。例え堆肥舎を作るとか、いろいろな生ゴミは堆肥で作るとかいうふうな取り組みを始めて、無農薬の野菜とか、お米とかって繋がっていったと理解しているんですが、その辺を少し、2〜3分でお話いただけたら有り難いんですが。

長谷川:2〜3分で?先ほどもちょっと話をしましたけれど、池田の場合、非常に人口も少なくて、さあやろうと言ったらまとまりやすいところからですね、とにかく有機農業を普及せなあかんという町長の考えと、どうせ農地が少ないんでね、付加価値を高めるために、あとは食の安心安全のためにというようなことで、食Uターン事業というのを始めたところがまず最初かなと思うんですけれども、生ゴミを全戸から、全戸というより、もちろん出してくださる人から集めて、堆肥化するということをやっていますし、それ以外には川クリーン大作戦と言っておりますけど、それも一斉に町をあげて上から下までっていうことをやっています。外来種の駆除は、それは本当に川をきれいにするために繋がっているかどうかわかりませんけど、表立って皆さんに伝わっているよりも、言うほど対したことはやっていないと。それを発信してね、みんなに意識を高めてもらおうということだけでございます。はい。だからなんだっていうことなんですけど、何よりも皆さん、川に入らなくなっているということでして、やっぱり入らないと実際にどういう状況なのかとか、そういったものに対しての大切さを分かることが少ないので、自分らとしては川に入る機会、そんなイベントを企画したりするところから始めているところです。

山崎:ありがとうございます。一番、上の方でこれだけいろいろと苦労しながら環境保全あるいは水質汚染を防ぐということをやっているんだけども、それ以降の中流下流の人は意外と無神経になっているんじゃないかなという気もします。この辺でも生ゴミを処理して堆肥にすればいいと思うんですけれども、金銭的な問題、それをどういうふうに利用するかという問題もあって、なかなか一番下の三国町でもそういうことが利用できていないし、大都市、この辺で一番大都市は福井なんですけど、福井もなかなかそういうことはできないという。それを池田町でやっているということで、是非これを参考にしながら自分が住んでいるところの環境は、ただ空き缶を拾えばきれいになるというのではなくて、基本的には川を汚染しないような環境にするにはどうしたらいいかということを、もっともっと積極的に実施していかないとなかなか環境ってよくならないんじゃないかということを思っています。それでですね、一番下で海水が水を利用してですね、全国に発信しているひとつに、三国の水族館があるんですけれども、そこの館長さんが今日来ているので、少し短いコメントでいいので、申し訳ないですけども、水繋がりで何か発言してくださるとありがたいです。鈴木さんです。

鈴木:はい、いまご紹介いただきました鈴木です。お話しさせられると思っていなかったので、準備していませんけど。今、皆さん方のお話を聞いていて、やはり生き物、木も何もかも生き物なんですけど、人間は一部を利用させていただいていて、恵みに感謝しなければならないなということをつくづく感じておりまして、何ごとにおいても取り過ぎが一番問題でして、木もそうですしサクラマスもそうですし、海の恵みも同じです。取り尽くしてしまったら、次の種はないわけですから、例えば越前がにであっても禁漁区を設けてあったり、サクラマスの釣りであっても、恐らく疑似餌でも釣りはオッケーなんですけどエサ釣りは駄目というのは、釣れ過ぎてしまうから駄目ということだと思うんですね。ですから資源を守るために皆さんこれから、いろんなものを利用するにあたっても、取り過ぎは駄目なんだということを理解して生活されたらよろしいかなと。いま皆さんの話を聞いて、改めてつくづく思いました。

山崎:ありがとうございます。鈴木さんは「いるかのラボちゃん」って言って、一昨年ですか、絵本を出した時の原作者で、要するにナホトカで汚染された海というなかでの、水族館がどういうふうに戦って生き残ってきたかというのが一冊の絵本で表現されましたけれども、とてもいい絵本なんで、まだ読んでいない方がいるとするならば、ぜひ水族館に言ってお買い上げいただけると有り難いなと、宣伝も兼ねまして、ひと言ご報告申し上げます。

鈴木:山崎さんの奥さんが絵を描いています。

山崎:絵を描いています。

(笑い声)

山崎:他にご質問は。はい、どうぞ。

質問者2:池田から来ました山口です。長谷川さんと一緒にいろんなことをやっています。鋸谷さんに質問をしたいのですが。私も山を持っているのですが、どうしたもんかという。森林についての知識は持ってはいますけれども初心者なので。今ある木を、豪雪で折れた30%ぐらい折れたまんまにして、今年はちょっと行こうと思ってチェーンソーを何台か揃えて行く予定しているんですけれども。ある程度間伐して自然に生えさせた方がいいのか、いま長谷川さんがやっているようなブナ林、ブナ林のようなものを植えた方がいいのか、間にね、自然に放置したままにしておくのが望ましいのか、またケヤキみたいな。うちの庭の上にはケヤキの木があって、ケヤキが庭の中にいっぱい生え過ぎてですね、大木になる前に刈ってしまおうというようなことをやっているのですが、そういうなのを持っていって植えるといいのかなとかね。それと今、山で森林の出し方の問題ですよね。うちの裏山なんかも、ちょっと他の人は分からないけれど、今の日本の森林っていうのは、なんていうか、あまりにも利用されなさ過ぎて、要はCO2のことも、あまり老木になると固定も良くないというんで、もうちょっと使った方がいいと思うんですけれども。その出し方で30mおきに林道をつけながらやるようなやり方、すごい重機をいれて一気にやるという。ドイツなんかは林道整備が進んでいるので、すごく出しも良くて利用されているという話も聞いてますけれども。あれをやるとうちの裏山もそういうふうにやられて、結局谷と谷の間に側溝を入れたりきちっとやっていかないもんだから、お水が出てですね、なんちゅうの、用水路が土砂で埋まってですね、ちょうど私も区長をやっていたときなんて、何べんも重機を出して、山の人にも文句を言って向こうにお金を出してもらったり、なんていうこともありますし。うちに出てきた水がね、止まってしまったりということがあるので、出し方の問題ですよね。そういうところで、かといってうちの山なんか見ると、行くとちょうど下まで歩いていて小さい道きているんですが、養老の滝の3倍くらいの滝があって、その上に山があるもんですから、これまた人海戦術で出すのも大変だなというような思いがあって、そういったことをどのように考えているか、ちょっとお聞きしたかったんです。

山崎:ありがとうございます。実はですね、これ今日4時10分までに終わってくれという要望がありましてですね、今の、もう少し時間がありますか?これが終わった後に2階で少し懇談会の時間を持っているので、ゆっくりお話ししたいと思っているんですけど。そんな形で、とりあえず今日は4時20分までに終わらせたいと思っているんで。少しだけ今の説明だけして、説明した後に今日のパネルディスカッションの全部の総括をしていただいて終わりたいと思うんですけども、よろしくお願いします。

鋸谷:ご質問はですね、大きく2点だったと思うんですね。杉の雪折れ30%ぐらいした後ですね、どうしたらいいのか。私どもは考えておりますのは、広葉樹を植えるというのは、これはあまり必要ないと思いますね。本当にケヤキが欲しいんだと、ケヤキを欲しいからケヤキを植えたいという明確な目標があるのであれば植えられてもよろしいかと思いますけれども、針葉樹を切って広葉樹を植えた方がいいというレベルの話だったらおやりにならないほうがいいと思います。ケヤキを植えて成功している山というのは非常に少ないです。広葉樹を植えても他の広葉樹が勝ってしまいます。植えた木は負けてしまいます。松なんかもそうです。植えた松なんかも後から生えてきた松が勝ってしまいます。広葉樹は特にそうですからあまりおやりにならないほうがいい。それよりも杉の木をある程度の間隔で残して、そのなかに広葉樹が入るようにする、そういうことをおやりになったほうがいい。そのやり方は私の本に書いてあります。

それから材を出すのにですね、30m間隔で山に道をつけて出すのが本当にいいのかどうかってことですが。現段階では採算性の合う木材の搬出のためには、この道をつけなければ出ないのが現実。経済的に合わないという現実があります。ただし、山の傾斜角で35度以上の山にそのような道をつけるということは、非常に危険でございます。多くの現場ではですね、そういう、どこもかしこもそのように道をつけるということで、大失敗をしているところがたくさんあります。ですから35度以下のところで道をつけられるのであれば、大きな問題は起きないと思います。その時の最低の幅が30m。できれば私どもは40m間隔ぐらいでいいんで、つけていただければいいのではないか。あるいは大きな木になれば、50m間隔でもいいというように思っています。とにかく道がないことには今はとにかく材を出して利用するということはできない状況になっております。詳しいことは、この後でまたお話ししたいと思います。

今日の総括ですか。はい。今日はですね。このミクマリ会議というのは、実はミクマリというのは、今日は誰か説明されるのかなと思ったら誰もおやりにならないので、なんなんですが。私の前段のやりましたが。いわゆる水をですね、農耕の方なんですが、農耕の方に均等に分けて、水を分けるという意味なんですね。水を分けて、こういうふうに物を作ろうと。こういうことですから、いろいろなところに水は行きます。水がないことにはですね、全ての産業は成り立ちませんし、全ての生き物は生きていくことはできません。ですから最も大切な、空気はどこにいてもありますけれども、水はですね、きちっと管理しなければできない。その水ができるのは山なのだというところでございまして。そういう水を通してですね、このような会議の場がですね、できて、それを今度は今日は人間のために利用するというところが多かったですが、これをもっとやわらかく、初心者でも入れる水遊びというようなところまで含めて、こういう会議をどんどんやっていかれることがですね、この地域の発展であり、その地域の絆を深めていくんだろうというように思います。本当に今日はいい会議になったかと思います。どうもありがとうございました。

(拍手)

山崎:どうもありがとうございました。それではもう一度、4人の方に拍手をお願いします。

竹内:ありがとうございました。それでは最後に、NPO法人三国湊魅力づくりプロジェクト、副理事長大和久米人(やまとくめと)より閉会の挨拶をさせていただきます。よろしくお願いします。

大和:皆さん今日はこの第2回ミクマリ会議ということで、本当にお忙しいところご出席を賜りましてありがとうございます。これを主催します私どもの三国湊魅力づくりプロジェクトというのは、最初に西澤理事長のご挨拶のなかにもあったと思うんですけど、有機農業のこと、環境のこと、それから歴史文化を生かした町づくりと、こういうものを主題にして活動しております。歴史文化を生かした町づくりというと、ちょっと環境と外れるかなと思うんですけれども、我々は歩くことであるとか、自転車に乗ろうというのも主題にしておりまして、環境というものと、いまコンパクトな町を作ろう、空家対策をしようとかね、コンパクトな町を作ろうということに、非常に絡んでいるわけでいまして。また人間的にも、今日の主題は共生ということだったと思うのですけれども、西澤理事長であるとか山崎副理事長であるとか私であるとか、ちょっと変わった種類の人の共生というのをやっておりまして、それでなんとか地域全体のことを考えるということをやっているものです。三国の町っていうのは皆さんご存知のように、福井県嶺北の水が全部集まってくるというところなんですけれども、我々は海から町を見てみよう、海から平野を見てみようという事業もやってまして。三国湊からはですね、山の間からは赤城山も見えるし、荒野も見えるし、先ほどの池田町の奥にある部子山も見えるんですね。そういうなかで子どもたちなんか来た時に、そういう水の大切さというのも訴えているわけですけれども。この三国湊が生まれた頃の人々の生活というのも、やはり環境に優しいものであったろうと思います。そういうことで、この地を中心にして、水問題のこと、それから今日いろいろな先生方が発表してくださった動植物、生態系のこと、それからまた人間の生活のことも含めて、いろいろなこういう環境のことを考える起点として、我々もまた頑張っていきたいなというふうに思っております。また今後ともご協力を賜りますようお願いをいたしまして、閉会のご挨拶とさせていただきます。本日は本当にありがとうございました。

(拍手)

竹内:ではこれで、第2回ふくいミクマリ会議を終りたいと思います。皆さま、長い間ありがとうございました。気をつけてお帰りください。なお、終了後なんですけれども鋸谷さんの座談会というのは2階でやりますので、ご自由の参加なのでよろしくお願いします。ありがとうございました。

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