1月の森の勉強会~キノコから見た三国の森~開催しました。

カテゴリー:みどリレー通信, 勉強会

2010.02.08

森の勉強会 「きのこから見た三国の森」 キノコって何だろう? もしキノコがなかったらどうなるだろう? そんな疑問を投げかけられて「きのこから見た三国の森」は始まりました。

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地球上の生きものは動物(消費者)、植物(生産者)そして菌類(分解者)の3つに分けられ、キノコは菌類でもっとも大きなものです。 動物、植物、菌類は自然界では共生関係にあり、バランスをとって生活しています。 菌類の働きは動植物を分解して新しい土作りをします。 菌類がいなかったら地球は動植物の死体で埋まって、生命が生きて行けない場所になるでしょう。 キノコは生きた生物につくキノコと死物につくキノコ(不朽菌)に分けられます。 生きた植物の根に共生する代表がマツタケ類、切った(死んだ)木材に生える代表のしいたけ、ナメコなどがあります。 木の根について木の成長を助けるキノコを菌根菌といい、植物から栄養をもらい土の中から吸い上げた栄養を木に与えて共生しています。 松と菌根を作るキノコは多く、キノコの大きさで共生している根の深さがわかります。 大型のキノコは深いところに、小型のキノコは浅いところに住む。 モミダケ(シロマツタケ)は大きく深さ80センチの松の根と共生します。 マツタケは15-30センチの深さに住みます。これらは落葉層が深くなると住めなくなります。 松は元々痩せ地に生える植物です。 細い根を張り、水と栄養分を吸収しています。 落ち葉が貯まると、水分が貯まります。 松は細かい根を出さなくても水分や栄養分を吸収できるので、太い根だけになります。 細かい根にマツタケなど菌根菌が共生するのに、細かい根がなくなると、キノコが住めなくなります。 キノコと共生できない松は弱くなり、高齢化に伴い、カミキリ虫が媒介するマツノザイセンチュウに犯され、松枯れが進行していきます。

幼い松林にまず生えるキノコは松露です。 数年たつとアミタケが生え、やがてシモコシ、マツタケなどの菌があれば生えてきます。 ドクベニタケ、バカマツタケ、ニセマツタケが生えてくると、これらは広葉樹の菌根菌ですので、松が生育できない環境になってきている状態です。

以前は出たのにマツタケが出ない、ということは松の細かい根が出ていないということです。 松を再生するにはどうしたらいいか。 松を再生するには痩せ地化する必要があります。 毎年、永続的に。昭和30年代は落ち葉をかいていました。 たきつけやマツタケを探すためにです。 どれくらいマツタケが取れたか調査したことがあります。 勝山のおばあちゃんの話では荷車いっぱいに拾った、1つや2つマツタケが落ちても拾わなかった、と。 それくらいたくさん収穫できたんですね。 今現在の三国の松林を残したいなら毎年薬剤を散布する方法が1つ。 これは毎年薬を注入します。 それと松林を痩せ地化すること。 毎年落ち葉かきをする方法と松林に木炭を埋めるという方法があります。 木炭は弱アルカリで松の細かい根が出やすい状態を作り、炭の間を細かい根が張っていくので、落ち葉かきをしなくても松の痩せ地の条件を作れます。 炭は埋めるとCO2を固定するので地球温暖化防止効果があります。 5~6年ほど前に僕たちのグループが三国に炭を埋めた場所は今でも松が残っています。 キノコ好きなメンバーが集まって「白砂青松の会」という会を全国組織で立ち上げました。 松枯れをこのまま放置すると200年後にはまた松林になります。 けれど僕たちはマツタケを食べたい。 マツタケを食べるには松林を再生しないと食べれない。 そういうきっかけでできた会です。 2010年は3月に加賀で集会と植樹を行います。 講演会や報告会もありますのでよければ聞きにきてください。  質問:枯れ松でも炭はできますか? ある程度までならできます。 ヒトクチタケが出る状態ならまだ炭になります。  質問:抵抗性の松という品種はどうやって作るのですか? 選抜育種という方法で品種改良します。 松にマツノザイセンチュウを注射して、残った松を増やします。 さらにもう1回注射して残った松が対性松として熊本で開発されました。

質問:マツタケは松林ならどこでも出てきますか?人口培養はできないですか?
マツタケ菌があるところなら痩せ地化すれば出てきます。 菌根菌の培地は非常に難しく、人工培養はできていません。 以前広島県の枯木さんが1本成功ましたが、その後50ヶ所で実験した結果再生はできませんでした。

質問:里山の手いれをしていて落ち葉かきをしたほうがいいのか、それとも落ち葉は栄養になるからそのままにしておいたほうがいいのか悩むのですがどちらがいいのでしょう?
菌根菌は松と共生します。 菌根菌を増やす目的なら落ち葉層はかいた方がいい。 林床に光が入る状態、20-30メートル見渡せる状態でないと松林は菌根菌が育ちません。 落ち葉は集めて堆肥にするといい堆肥になります。

質問:松枯れの他に枯れている木があると聞いたのですが教えてください。
ナラ枯れという現象があります。 カシノナガキクイムシが広げているといわれています。 福井では4-5年前から広がってきています。 今年グリーンセンターに「これなんですか?」と持ち込まれるキノコにナメコが多かった。 枯れて4~5年でちょうど今ナメコの菌が育つ時期になっていたんでしょうね。 これはナメコがナラ枯れがあったよ、と言っているんですね。

質問:食べれるキノコを覚える近道はありますか?
キノコ全般の勉強をしてください。食べれるかどうかはそれからです。 近道はキノコの観察会などに参加することです。 くれぐれも図鑑と似ているから、という理由だけで食べないでください。 最近のキノコ研究の主流はDNA検査になってきました。 DNA検査によりアミタケとショウロが同じ仲間だったことが判明しました。 今後今までの分類が通じなくなってくるかもしれない。 けれど基本は同じです。生えている地域、場所、色、ニオイ、植生。 それらからキノコの分類ができます。

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キノコには生きている木に共生するキノコと木を腐らせるキノコの2種類あって、性質が異なることを知りました。 キノコの発生を知ることで現在の森の状態がわかる。 キノコの名前はまだよく知らないけれど、森が変わったね、ということをキノコが教えてくれる、キノコがメッセージを発しているということを発見した時間でした。 先生が話されるキノコが思い描けないのがもどかしく、帰ってキノコ図鑑を見たい!そんな衝動に駆られました。 松枯れをなんとかしよう!と始まった緑のリレープロジェクト。 今年度は植樹祭を契機に行政による枯れ松の処理が進み、みどリレーの活動は里山活動にシフトしています。 今日の話は今後の方向の1つのヒントとなった気がします。 松を再生するプロジェクトも面白そうだと感じた勉強会でした。

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